「土木」の歴史をふりかえって

土木学会誌100周年企画「土木学会誌99巻をふりかえる」の編集作業が
終盤にさしかかっている。私は第一回(1915-24)と第八回(1985-94)を
担当したが、その際、土木学会誌の流れをつかむために、結構な量の記事を
読んだ。(80年代生まれの)私にとっては勿論始めて読む内容が多く、
特に1960年代以降、土木全体の流れがどう変わったか、論客がどんな論を
展開したか、どのような背景で計画学委員会が生まれたか、同じく景観や
デザインに関する議論がどう学会誌の中で展開されていったか、
そういったことが勉強できて、とても身になった。

土木学会誌(土木学会図書館所蔵)
http://www.jsce.or.jp/library/open/proc/maglist2/00034/index.html

特に1960年代以降の開発問題に対する市民運動への対応と議論、
70年代以降の「地方の時代」の興隆と、90年代にかけての地方開発における
土木の考え方の変化について、時代感を追えたのはためになった。

もうひとつ、あらためておさえておきたいことは、
土木における景観工学は、土木空間の設計論から始まっていることである。
高速道路しかり河川空間しかり。
景観論としては、根本的な問題意識と大きな体系的広がりをもってしかるべき
だとは思うが、やはり最終的には「土木空間の設計」に還元されることが
その目的になければ、ということをあらためて自覚したわけである。

なので、緑化の議論をするとしても、やはり、土木空間のなかでそれをどう
実装するかという議論が必要である。たとえば「都市土木」がつくる余白の
空間として、街路空間、高速道路のインターチェンジや高架下、河川両岸と堤防、
管理用道路や遊水地、鉄道沿線空地や廃線跡地、臨港地区内の修景厚生港区など、
があげられよう。
そういったものの地域空間戦略上の意義をきちんと再定義していくようなこと
が求められるのではないか。

既存の制度や運用実態にしばられない大きなコンセプトを示すことも大事では
あるが、その一方で、現在実装すべき問題を正面からとらえて精緻に答える
態度が必要である。

こうした問題について、今後数年、集中的に考えていきたい。

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