2018年 振り返り

2018年という年を振り返ると、まず、研究室の学生メンバーが精力的に活躍してくれた。7つのイベントで大小7つ賞をいただくなど評価もしていただいたが、これらはごく一部で、今後につながる豊かな知的生産が活発で有意義だった。これからの研究の展開が楽しみである。

個人的には2018年は「実践への展開」の年だったといえるかもしれない。これまでも自治体の仕事はそれなりにあったが委員会やアドバイザー、調査での関わりが多かった。2018年は、これらの枠をこえて、実現をふまえたまちづくりの方向性や事業の組み立てを検討できるチャンスをいただくことができ、新たな実践の方法論を模索することができた。

一方、「大学研究室が実践をやる意味とは?」と自ら問うことも多かった。ある種のモデルケースを作ることや、(広義の)社会実験を行うことは重要な仕事である。しかし、単なる自治体のお手伝いや、研究室の外部活動実績づくりは、研究者にとっては重要な仕事ではない。

大学研究者・実践者の役割とは何か? 大学の外のコンサルタントの役割との違いとは? そのなかで私という人間にしかできないこと、やるべきことは何か? これを突き詰める必要を感じてきた。

私の専門からいえば、地域の風土を評価し、地域の風土を活かしたまちづくりの方針を構想し、事業と空間のプランニングを練り、実際の景観のデザインまで一貫して関わること。これが目指す実践のかたちである。が、研究者が実践に関わる以上、やはり理論化こそが最終的なゴールと考えている。実践そのもののモデル性のなかから、社会のストックとなる理論化を行う、すなわち基礎的(モデル)概念の構築や、現象やスキームの理論化、技術の体系化を行う必要がある。ここにこそ研究者が実践を行う真の社会的意義があるだろう。実践と理論を、大きな熱量をもって往還し、議論を充実させること。それによって、100年の(大袈裟か?)実践の基礎をつくる意志を忘れないようにしたい。そして、常に、どんな理論体系をつくろうとしているのかについて自覚的でいたい。

最終的にはうまく理論と実践を融合させることで、自らの実践/ 理論のオリジナリティを明確化し、実践そのものについても自分にしか構想できないものへ到達したいとは考えている。他の多くの実践者が、似たようなことができるようなことなら、その仕事は本来やるべきではないのではないとも思う。ただ、最初からオリジナリティあふれる仕事がそこにあることはなく、いろいろな局面に対応しながらそういう方向に育てる必要がある。また、必ずしも現場ではとんがったモデルが求められるわけでもなく、なかなか悩ましいところである。とはいえ研究者にとっては「時間」はかけがえのない財産であり、それを無駄にしてしまうことにならないようにはしたい。

兎も角、2019年は、実践と理論のより強い往還を意識して進めていきたい。もちろん研究こそが、これまで同様、最重要のミッションである。

(2019.1.9加筆)昨日の日経で、山極総長が「地域の産官と連携急務」と主張されていた。国立大学は「それぞれの地域の産業や行政の中心となって、人、物、資金の流れをつくり、年齢や国籍を問わずに人材育成を図れば、これからの分散型経済、知識集約型社会を動かす原動力となる」と。まさに私がやろうと考えていることである。


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