コロナ以後(その1)

コロナ禍について、さまざまな知見が蓄積され、概ねこれからの見通しが立ってきた。これからの数年のしのぎ方と、コロナ脅威克服後の都市・地域経済復興方策を考えていかなければならない。

まずは、未来を考えるにあたって、今後の見通しを定めたい。間違いもあるかもしれないが、自分では納得したこともあるので、恥を忍んで備忘録メモを公開したい(2020/4/26)。そして、これから不定期で続けて(連載的に)コロナからの復興と社会システムの変革について、考えていることを公開したい。

図は”Roadmap to Pandemic Resilience”(Harvard University’s Edmond J. Safra Center for Ethics)より引用(https://www.pandemictesting.org

【今後の見通しについて】

さて、まずこの状況がいつまでどのように続くか。韓国や台湾のように、コロナ感染をコントロールできるのか。コントール可能になるのは、新規感染者数が感染経路が追跡可能なレベルに、少なくなって(たとえば東京都で10名/日程度)はじめてと、いうことだそうだ(4/25のNHKスペシャル, 西浦教授の発言)。

しかし現況を見ると、もはやそのシナリオを描くことは難しい。医療崩壊を防ぐためもあってか、PCRも検査が十分できておらず、感染経路は多くが不明で、現状のままでは感染封じ込めは現実的でない。夏の間に感染者数が劇的に減少したら可能性はある。秋に大きな第2波が訪れる可能性があるものの。
※4/29追記:厳しい外出制限は少なくとも5月末まで延びそうだ。感染経路が特定出来るよう、感染者がかなり減るまで外出制限をかけるものと思われる。相当厳しい外出制限をしないと5月どころか数ヶ月続く。厳しいロックダウン措置をとれるかどうか。

期待されるワクチンや特効薬も難しく時間がかかるそうだ。かなり早くて1年、早くても2年。数年かかる可能性もあるそうだ。
参考)https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/review/2020/04/20200416_01.html

そして、外出規制は2022年まで続くという研究での予測も出されている。
参考)https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/2022-1.php

それまで数年かけて、大小の波を繰り返しながら、集団免疫ができる人口の7割が感染するまでコロナ禍は続く、ということになのだろうか。

まず言えることは、少なくともコロナ禍が続くのは間違いない、ということであり、重要なのはその感染者が多いか少ないか、である。

もし、外出規制を続けることで感染爆発をおこさず、現在の新規感染者500-1000人/日を維持した場合も、2年で73万人の感染確認者数、実際には感染者数1000万人程度以下にとどまり、集団免疫獲得にはいたらない。

逆に、いったん感染爆発がおこるとどうなるか。たとえば、ニューヨーク州では、3か月で感染確認済みは17万人(1.5万人が死亡)だが、約14%が抗体をもつ=270万人/2000万人の感染予測がなされており(とすると死亡率は0.55%)、今も感染確認者数は0.8万人/日(実際には12万人/日程度)で横ばいである。数ヶ月で集団免疫獲得に至る。
参考)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-23/Q99AVWDWRGG001

しかし、集団免疫獲得に至るまで、たとえば2年以内に首都圏人口4300万人のうち6割の2580万人強が感染(もし致死率0.55%とすると14万人が死亡)、日本全国で6割感染(致死率0.55%、約42万人が死亡)というシナリオは現実的ではない。なお、西浦教授の最悪“42万人死亡試算”の根拠は分からないが、重症患者が累計85万3000人になり、その49%(41万8000人)が死亡する、というものだ。
参考)NHK“対策なければ最悪40万人以上が死亡” 厚労省専門家チーム https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200415/k10012387961000.html
ただし、免疫により再感染しない保証はないこと、免疫が1年程度で消える可能性もあることも指摘されており、もし集団免疫獲得さえできなければ、救いようがない。

つまりは、集団免疫獲得シナリオは期待出来ない、ということがわかる。

では、現在の緊急事態宣言下(7-8割削減)からの緩和がどの程度可能なのか。経済死は防げるのか? 基本的には、感染爆発が生じないように=患者数を一定数以下におさえることを目指すことになる。外出規制を続けてコロナ感染者数がかなり減ることが前提だが、数理モデルによれば、その後は接触をコロナ前の「少なくとも6割減」を最低限とすれば感染爆発は発生しないという。ここが目指されるのではと思う。
接触をコロナ前から少し削減したくらいでは結局感染爆発が起こってしまうため、「少し緩和」を探ったとしてもほとんど緩和の余地がないことがわかる。
参考)新型コロナ感染症、接触削減「8割必要」モデルで算出  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58399970T20C20A4000000/
最新の研究でも概ね6割削減と示されている(「長引く社会的距離措置はいつ緩和できるのか?」)https://www.technologyreview.jp/s/200648/the-tricky-math-of-lifting-coronavirus-lockdowns/

モデル上は国民全体では少なくとも6割減が必要ということだが、外出自粛以外の対策でできることがある。医療を受ける者はすべて事前にコロナの検査を行う(緊急も含めて)、保健所・医療機関の体制を整え、患者数のキャパシティを増やし、コロナ感染者が増えても医療崩壊しないようにする。
現実には難しいかもしれないが、高齢者や基礎疾患のある者は別居など、隔離を徹底し、それ以外の者のみ緩和する、などだ。
それでもキャパシティの増大は知れている。

外出自粛も、たとえば60代以上(人口の1/3)を8割減(ほぼ自己隔離)にすれば、50代以下(人口の2/3)は5割減程度におさえられる。世代間の接触削減を空間・時間による使い分けなどによって行う。5割だとなんとか社会・経済は回せるだろうか。接客を伴うサービス業など、業態によって、きわめて厳しいのは間違いないが、通常のオフィスワークなら可能な範囲だ。

大恐慌、大不況は不可避との予測がいろいろと出ている。
参考)週刊東洋経済特集「コロナ大恐慌」 https://toyokeizai.net/articles/-/345359
IMF、世界経済見通しを公表 https://www.businessinsider.jp/post-211458

それでも、死者を最大40万人を出すのと、6割減で経済を半ば諦めても死者をなるべく出さずに生きていくのと、国民はどちらを選ぶか。たとえ前者を選んだとしても社会・経済は結局のところ壊滅的ダメージを受ける。とすると、今の感染状況も考えれば、後者しか「選びようがない」。

外出自粛をしながら負のダメージを最小化するためにどうするか。残念だが飲食・宿泊業は業態を変えない限り厳しい。このままでは初夏には店が激減してもう戻らないだろう。不動産所有者や金融機関が家賃・借金返済を待てるような措置が可能となればよいが、長期の外出制限には耐えられない。迅速な業態転換、人材配置転換(転職支援)が必要だ。

この被害は全世界でほぼ共通である。これまでの自由主義的資本主義経済の枠組みでは危機時のコストが大きすぎる。持続的な社会が成り立たない。国家の財源も限られるため、日本をはじめ多くの大国で一斉に、時限付で自由経済をコントロールし、痛み分けして保障しあう経済システムを構築することが必要だと思う。日本も、ベーシック・インカムの導入も含めて、時限付で共産主義国家並みの保障や福祉の導入を検討する必要がある。

失業対策には国有の派遣会社をつくるイメージだ。20世紀旧型産業に投資するのではなく、SDGs時代のよき社会をつくるための新産業に投資し、国内需要を地域再生公社が創造し、景気回復に注力するなどが考えられる。公共主導でいかに地域を再生させ、人を活かし、イノベーションを生みだせるかが重要なテーマになるだろう。
欧州でも、グリーンニューディールのコロナ禍復興編ともよべる施策が議論されている。
参考)ポスト・コロナの世界経済はこうなる──著名エコノミスト9人が語る https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/9-37.php
コロナ危機により、ついにベーシック・インカムが実現する可能性 https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2020/04/post-100_2.php
欧州、ポストコロナの経済復興は「グリーン・リカバリー」で。各界で動き高まる
https://cehub.jp/news/green-recovery-alliance/

最後の部分は次回以降のイントロダクション。
結局のところ、少なくとも5割減の外出規制はずっと続くだろうと思う。
少なくとも1年、2021年の春までは。

そして、その影響を予測した上で、事後の対策を考えておく必要がある。     

(つづく)

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