都市緑化 Vol.3

前回までは、地域計画として農地や空地を利用した緑化を取り上げたが、
今回は商店街に着目して、既存の都市空間の高質化としての緑化を取り上げたい。
中心市街地活性化、地方再生の両方の文脈で実践が進んでいる。

もともと、日本人は密集した都市のなかでも自然を楽しんできた。
たとえば「市中の山居」(参考)に代表されるように、
京都などは、通りに面した「表」で商売を行い、「奥」に自然を取り込んだ侘数寄の
造形空間が設けられていた。

都市空間の再編・高質化において、緑は手段としてしばしば使われる。
商店街の緑化についていえば、たとえばイセザキモール@横浜では、1970年代、
それまでのアーケードを撤去して整備し、街路樹の緑を得た歩行者専用道とした。
これが諸々のスキームと合わせて商店街再生の代表的事例として語られてきた。
黒壁で有名な長浜においても、多くのまちかど広場が作られてきたし、現在も
整備が続けられている。

最近では、富山グランドプラザのインパクトの大きさもあり、線状の空間整備に
とどまらない、都市拠点、にぎわい拠点としての「広場」が脚光を浴びている。
(この、再開発事業によるセットバックと、道路の付け替えの合わせ技はすごい)
また、エリアマネジメントや道路占用許可の特例措置がこの流れに拍車をかけている。

その動きの一つが、これまた長期にわたって整備・まちづくり活動を行っている
丸亀商店街@高松、にみられる。
先日、丸亀町グリーン(高松丸亀町商店街G街区)を訪れた。
この第一種市街地再開発事業についてはこちら(LINK1 , LINK2)。

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広場では、けやきを中心に人のたまり場をつくっている。
渡り廊下が線状の空間を区切り、囲繞をつくって広場たらしめている。
天井のトラス構造が、ペーブメントにグリッドの影を落とす。

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本整備の特徴は、以下のように説明されている。(平成25年度土地活用モデル大賞選考結果
「結節点・拠点性を高める交流機能として、従来店舗として利用してきた場所から店舗を削り約300坪の広場を創出、また商業施設、ホテル、住宅、駐車場、駐輪場といった多様な機能を集積させ、アクティビティの高い都市空間を創出した」
「可能な限り権利床を共有床とし、営業継続の地権者にはテナントとして再出店してもらうことで、「所有と利用の分離」を図り、床の一元化により長期継続する安定的な管理・運営を実現した」
合わせて、商店街のアーケードの改修によるシンボル空間整備がなされている。

 

米子では、緑の挿入による「商店街の公園化」が進められている。
「空き店舗率55%、高齢化も進み振興組合は既に解散、老朽化したアーケードの修繕維持費や電気代もままならない状況から、有志でまちづくり会社を設立し地権者の同意を得、「商店街の公園化」をコンセプトに進められた」とある。
参考 https://www.machigenki.jp/146/k-1524
 
 
緑を通じたコミュニティづくりとしては、たとえば阿蘇の宮門前町商店街が知られる。
参考 https://www.machigenki.jp/115/k-1650
 
これらの事例から浮かび上がるのは、古くからある商店街においては、もちろん郊外の
SCとはコンテンツでも勝負しなければならないが、コンテンツを呼び込むためにも、
「空間の質」で勝負することが有効だということだろう。

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