ダイアローグ

最近、ミハイル・バフチンの対話理論に関する解説書、それを援用した実践書を読んで、とても参考になったので共有します。

バフチン(1895-1975)はロシアの思想家・文学評論家ですが、臨床精神医学分野で、バフチンの考えを援用したオープンダイアローグのアプローチが、近年非常に大きな注目を浴びており、それにともない再(々)評価が進んでいるようです。

ワークショップなんかを開催していると、それをきっかけにまちの動きが変わるような、うまくいくワークショップと、そうでないワークショップがあります。しかし、うまくいったときになぜうまくいったのかを言葉で説明しにくい、再現しにくい、という状況でした。

それに対して、どのように人の内面から言葉が生まれ、それがどのように響き合うのか、という人の対話のなかの相互作用を、バフチンは掘り下げて議論しています。私がまず読んだのは、下記の本です。たった1日で読める程度の分量ですが、非常に濃密で、とても面白いです。

桑野隆. 生きることとしてのダイアローグ:バフチン対話思想のエッセンス. 岩波書店, 2021.
https://www.iwanami.co.jp/book/b589307.html

そこから、臨床精神医学分野での実践について書かれた、以下の本を読み始めました。医療分野を中心にいろんな方が衝撃を受けた、と書いていますが、よく分かります。人の考え方・生き方すら変えてしまう力をもった本だと思いました。

ヤーコ・セイックラ、トム・エーリク・アーンキル『オープンダイアローグ』(高木 俊介、岡田 愛 訳)、日本評論社、2016年
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7076.html

統合失調症に限らず、まちづくりの課題と実践を考える上で、非常に多くのヒントがあります。対話のありかたに着目した実践とその理論化が求められますね。

セイックラらが作ったガイドラインを、オープンダイアローグネットワークジャパンという組織が、要約・翻訳(部分的にアレンジ)しています。無料でDLでき、エッセンスを知ることができます。
https://www.opendialogue.jp/対話実践のガイドライン/

ただ、なぜ、これらが大事なのかという説明が重要でして、それに関心がある人は、上の本を一読されることをおすすめします。