近況報告 2024 夏

随分久しぶりの更新になってしまいました。申し訳ないです。

特に何かあったわけでもなく、単純に日々仕事に追われており、心の余裕がなかっただけです。実際、この1年半、人生で最も忙しいといってよい日々を過ごしていたのも事実ですが。

毎日、朝昼晩ずっと打ち合わせや会議をしているような日々ですね。おかげで瞬発力、アドリブ力が鍛えられています。学内業務が忙しいのと、コロナ禍下に増えたいろんな仕事が、コロナ後に対面に戻っておさまっていないというのもあります。さすがにこのままでは、自分の仕事を進める時間がとれず、まずいなと思いまして、今年に入ってからは大変申し訳ないのですが、自治体の委員会等の新規の仕事はお断りをせざるを得なり、プロジェクトベースで深い関わりのあるものだけ、お引き受け・継続するようにしています(ご容赦ください)。

2回目の近畿地方の副首長懇談会の様子(講演と議論の座長を担当)

しかしながらありがたい面もあり、いろんな団体・組織にお声がけいただいたり、座長等の重責を務めさせていただくことも多く、学会以外での知人や顔見知りが非常に増え(国の勉強会や近畿地方建設協会や関道研の研究会、CITEサロンのワークショップなど)、また、さまざまな方と仕事をご一緒させていただいて、実務の経験値がかなり高まりました(実務は面白いですね)。

NHK地方放送の特集に専門家として出演した時の様子

少しだけ近況報告をします。昨年からだと、国交省都市局系の雑誌『新都市』や、年刊『造景 2023』、雑誌『RIVERFRONT』、『都市問題』ウォーカブル特集、など、数多くの重要な雑誌に、寄稿をさせていただきました(なかなか時間がなくて、簡単な論考にならざるをえないですが・・・)。

また、藤井先生から、雑誌『表現者criterion』での連載執筆のお声がけをいただき、2024年7月号から「風土と共同体」というタイトルで連載しています(隔月)。こちらは、これまで数年間、和辻哲郎の倫理学や社会学を読み込んでいたものをふまえて、風土再生・共同体再編の実践のための理論化を進めるものです。形にするいいきっかけをいただきました。ここ数年ほどの考察の成果をみていただけますので、ぜひ、手にとってご一読いただければと思います。

海外のウォーカブルなまちづくり本の出版企画も進んでいて、執筆が佳境に入っております。これも今年中に脱稿しとりまとめる予定で、ようやく出版できそうな状況になってきました。

あと、30歳代の後半くらいから(数年前から)関わらせて頂いている公共デザインの実践も、ようやく徐々に成果が目に見える形になってきました。土木は関わり初めてから目に見える成果が出るまで10年かかるといわれますが、まさにそうですね。やはり規模も(かかる金額も)大きいし、時間も手間もかかります。その代わりにやり甲斐もあります。

関わらせて頂いている地域では、着実に、質が高いプロジェクトが進んでおり、その出来上がりが楽しみです。そこで思うのが、デザイン・マネジメント人材の育成が本当に必要だということ。民間からもっと出てきて欲しいですね。個人的には、一つ一つが手探りで、その都度勉強の機会になっていて有り難いです。やはり、目の前に課題があるから勉強できるというのはあると思います。今年からは鳥取駅の周辺整備に関わらせていただくことになりました。既に始まっていますが、鳥取に通います。

研究室プロジェクトで長年関わってきた近江八幡市では、市役所前の広場の整備の検討が進み、研究室でも検討に関わらせていただきます。姫路市の網干地区・たつの市の龍野地区に関しては、今年3月ににししんのまちづくりファンドが組成されて(7000万円のファンド)、それとあわせて各地域で次のステージのまちづくりが進み始め、面白くなってきました。これまでの研究室の学生たちの研究や実践の成果も多く活かされています。

にししん・まちづくりファンドに関する播磨時報記事抜粋

研究や学会関係でも、研究室の同志たちが数多くの栄えある賞を受賞しています。特に、共同研究者の萩原さんが、土木学会の計画系全体で年間に1人しか受賞できない、最難関の土木学会論文奨励賞(令和5年度)を受賞したのは、快挙ですね。研究室では八尾さんの受賞以来、6年ぶりの受賞です。谷川さんが、都市計画学会・論文奨励賞を受賞されたのも目覚ましい成果です。とはいえ、受賞の有無にかかわらず、みな質の高い研究を精力的に進めてくれています。

当方はというと、最近、端から見たら何の研究者なのかと疑うんじゃないかと思うほど、社会学や哲学の勉学に時間を費やしております。特に古典を読み込んでいます。先に述べた、風土再生の実践的計画論を体系づけるためですが、今の時代に必要な学問体系がまだ構築されていないので、それを根本から築き上げる必要があります。古典は考察が深く、理解し読み込めるまでには一定の力をつけないといけないですが、一番参考になります。

若いうちは、いろいろな可能性に関心をもち、とにかく手を広げてきましたが、今思えば、それで直感力や嗅覚、批評力が備わったと思います。いろいろやると比較ができますから。で、人生も折り返し点を迎えて、ようやく絞るべき点、掘り下げる点(一番重要な論点)、自分がすべきミッションが見えきたということかと思います。中村良夫先生からも、新たな分野を構築するよう激励をいただいていますし、あとは論を築きあげていくのみです。新しい概念・体系はすべて説明しきらないと、人は理解はできないですから、丁寧に説明する必要があります。説明しきった後には、新しい研究・実践分野が生まれていると信じています。道筋というか設計図はかなりクリアに見えているのですが、あとは表現にかかる時間の問題ですね。それができたら、それを普及・啓発していく第二の人生が始まるのかなと思います。

すぐに伝えきれないのがもどかしいですが、頑張って時間を作って形にしていきます。早速、今年のお盆は一人で合宿、かんづめで執筆作業に励みました!

というわけで、更新がないのは忙しいだけで、何か頑張ってるようだ、と思っていてください。
皆さん、ひきつづき、どうぞよろしくお願いいたします!