2025年の抱負

年が明けましたので、今年の抱負を語りたいと思います。
ただ、抱負だけ語っても、なぜそれを目指すのかが伝わらないと思うので、合わせて、僕がいま見ている社会の未来の像についても触れたいと思います。
興味がある方は、ぜひリアルでも意見交換しましょう。

この記事の内容をAIに描かせてみたら、こんな絵になりました。なにこれ。

 

さて、ここ数年、研究者としての変化の必要性を感じていました。これまで大学の役割、研究者の役割とされたのは、自然・社会現象の解明をただひたすらに目指すことでした。いい論文を書き、発表をする、それがみなの共通の目標でした。基礎研究はそれでいいでしょう。ただ応用研究も同じことを目指すだけでよいのか、という疑問が大きくなっていきました。しかし、大学の人事評価は、基本的にはいかに多くのインパクトの大きい論文を出したかです。

ところが昨今、国内外の大学の役割として、イノベーションや社会共創を担う役割が求められはじめました。現代社会は前時代の仕組みや戦略ではうまくいかない諸課題に直面しており、ソーシャル・イノベーションや持続可能性目標の実装が求められていますが、なかなか資本主義原理のなかでは実装に結びつきにくく、人材も圧倒的に不足している。しかし、まだ大学にもそんな人材は育っていません。

公共デザインの現場も変革が必要になっています。私自身もいろいろな現場に入って、現在の社会の仕組みを体感し、理解を深めました。そうすると、時代遅れのところや機能不全のところなど、いろいろあることが見えてくるわけですね。しっかりアドバイザーとして入れているところはいいですが、それでも限界がありますね。次第に、どうやってここにイノベーションを起こしていくか、ということを考えはじめたわけです。

いまはまだ現場に入って実践・実装を鍛えているフェーズですが、大学人としては、理論化を鍛え、理論に基づく対案を出すようになることが求められます。理論化・一般化がないとイノベーションではなく、属人的な政治になってしまうので。根拠や確度・強度ある論をどう練って、どう打ち出すか。そして、その社会実践をどう世の中に反映するか。

時を同じくして、官民のいろいろな団体にお声がけいただき、さまざまな勉強会の企画・運営にも関わりました。そして勉強会方式の可能性と限界の両方を知ることができました。必要なのは、問題を抱えている行政や事業主体と、それを創造的に解くチームが出会い、さまざまな主体が創造的にアイデアを創出させ、実装することが試せる場である、という思いが大きくなりました。

これはあくまで今の研究室でではないですが、将来自分が独立するとして、その後の話ではありますが、公共デザインにイノベーションを起こすプラットフォームの立ち上げができないかと考えています。これからの数年間の目標としたいと考えています。

官・民・学共同のプラットフォームを構築して、具体的に取り組むべきは、
・公共デザインの共同プロジェクト化
・プロジェクトのリサーチや可能性調査、ケーススタディを通じた民間・行政・大学におけるコ・ラーニングの仕組みづくり
・非公開情報の集約化・ストックと編集、発信(メディアをつくり発信)
です。さらにそのプロセスにおいて、
・プロジェクトにおける専門家のマッチング
・若手専門家のOJT/研修(場合によっては専門修士も)
・学生のインターンシップ(在学中の現場トレーニング/職業体験)
も組み合わせられます。
これを関西圏(最初は大阪)をモデルとして構築したい。まずは小さく、できることからはじめる必要があります。立ち上げ期の数年でやること、実績を積んだ後にスケールアップしてやることは違います。

ただし、これを大学の研究室の活動ベースでやるというのは正直、無理な話です。
むしろこちらの活動をメインにして、その調査研究の役割の部分を一部、大学の研究室が担うようにするという方がイメージできます。それで研究活動がまわるように教育プログラムの設計が必要です。

一方、民間企業との連携の場合、事務局機能の構築が肝になります。事業主体となる自治体・民間の課題解決の検討体制・プロセスをうまく設計すればできるのではないかと考えています。たとえば、2020年に京都三条通で試したワークショップもそのような試みのひとつでした。事務局は課題に直面しているステークホルダー側が担える部分も大きいからです。

上記のことは、個人や研究室レベルだけではなく、学会レベルでも、です。現場での議論(実践・実装)と学会や研究会での議論(理論化)をどうつなげる、どうシステム化するかが重要な問題だからです。そのためには実践・理論を包含するプラットフォームの形成が必要ですね。これも考えていきます。

というわけで、新年早々、大きな野望をぶちあげるところからはじめてしまいましたが、そんな遠くない未来に始動させたいと考えており、今年からその準備を進めていきます。みなさま、あたたかく見守っていただけばと思います。また、ぜひご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

 

で、ここからはもう少し身近な抱負です。

これまで十分にできなかった、研究室のOBOG勉強会(オンラインあり+飲み会あり)をはじめたいと考えています。ただの飲み会だけでなく、昼間からの勉強会も。名前は・・・、そうですね、「パブリック×デザイン勉強会」とかにしましょうかね。半年に1回、大阪や京都で。土曜1日くらい使って。たまに東京でも。それぞれの関心を語り、クロスさせる。民間の人は民間からみたパブリックを考える。あとは飲み会を楽しむ。いろいろ人脈もできたので人と人をつなげていくこともやっていきたいです。

これをやろうと思ったのはOBOG忘年会にたくさん人が集まってくれたのを見て、話し足りないと思ったから、というのもあります。強力な仲間がたくさんいますので、もったいないなと。

2024年忘年会の記念撮影

あとは、近況報告をマメにするようにしたいですね。
まずはブログを1ヶ月に1回くらい更新することを目標に。 

本当は、Youtubeで情報発信したいんですが・・・。特に研究発表後の研究プレゼンや、海外の最新事例解説動画など。学会発表してもあまりたくさんの人が聞いていないし、論文や雑誌記事もどれだけ読んでくれているかわからないので、書きっぱなしで終わらせるのではなく、それを動画で発信してストックしたいと考えていますが、このあたりはぼちぼち・・・。

というわけで、今年もよろしくお願いいたします。