次世代の地域経営

最近の地域づくりや地域経営の事例をみると、これまでとは違う新しい取り組みやスキーム構築が進められているように思います。そのスキームを抽象化するとどんなものか、以下に示してみます。実際にやりきるのは難しいですが、もし実現できれば、いろいろな地域でのシステム設計、都市経営にも応用できると考えています。

ただ、具体事例やスキームはあえて、ネタバレせず。分かるかなー。気になった人は自分で調べたり、直接訊いてください。

「攻めの地域経営」へ
単に既存の資産を管理するのではなく、地域内外の人的・資本的リソースを動的に結合させ、新たな産業と価値を持続的に生み出す「イノベーション・エコシステム」の構築が求められている。
その理論化においても、単なる概念論ではなく、事業創出(ビジネス・インキュベーション)、資金循環(ファイナンス)、人材育成(HR)が相互に連動する包括的なシステム設計が必要になっている。以下の3つが重要な論点と思われる。

1.地域事業会社が主導して、地域での事業づくりの仕組みを作る
地域リソースを事業化するには、学ぶだけの場では不十分。実際にリスクを取ってサビースを開発・事業化する「事業体」が必要。
●概念の転換: 地域づくりにおいて「人材育成」を目的とするのではなく、「事業創造」の結果として人材が育つプロセスを設計する。
●事業インキュベーション(ベンチャー・スタジオ×アセットマネジメント):地域資源の事業化、サービス開発、事業運営のための実行部隊の組成。 ボランティアベースの協議会ではなく、収益事業を行う地域事業会社を設立し、ここをOJTの実践道場とする。
●マネージャーやクリエイターの関与: 資産家や経営人材、コアな関与人材には、メンターとしてだけでなく、地域ファンドへのLP出資や、設立する地域事業会社の社外取締役としてのコミットメントを求める(プロジェクトは「誰とやるか」でほぼ決まる。)
●リソースの編集: 地域の未利用資源を、クリエイターの視点で「高付加価値商品」へと転換するプロジェクトを常時複数走らせる。
●ガバナンス・推進機構:ビジョン策定、合意形成、制度設計(特区申請や条例改正)、包括連携協定の締結など、多層的な推進体制をがっちり構築する。

2.技術の実証から社会実装を進めるリビングラボと、循環型金融を生み出すソーシャル・ファイナンスを融合する
技術シーズがあるだけでは地域に産業は根付かない。「投資」に関しては、行政予算に依存しない、民間資金を呼び込むスキームが不可欠になっている。
●リビングラボ化: 地域全体を、新しい技術(テック)の「実験場(サンドボックス)」として開放し、誘致・マッチングをするのが有効。ここでは行政は人集め、マッチング、規制緩和や住民との調整役を担う。
●ファイナンス・支援(資金調達、投資、助成、寄付の仕組みの設計):公的資金(補助金)、民間投資、準公的資金、地域市民からの出資や個人投資、企業協賛・寄付(寄付)等を使い分けて、資金調達を仕組み化する。必要に応じて、受け皿としての「地域インパクトファンド」を組成する。
●評価指標の多元化: 社会インパクト評価の方法を試行し、確立する。投資判断基準に、経済的リターンに加え、環境再生やコミュニティ形成への寄与度の導入を目指す。

3.イベント×コミュニティ形成・スクール等のプログラムにより、多層的なエンゲージメント・プラットフォームを構築する
「認知・集客(イベント)」→「学習・交流(スクール)」→「実践・共創(プロジェクト)」→「投資・定着(事業化)」という階段状かつ構造化されたプログラムを設計する。
●カンファレンス・イベントによる人材発掘・コミュニティ形成、マッチング・広報、スクール形式による実行部隊の人材育成・教育。
●地域リソースを活用する人材インベントリを作り、プロジェクト単位で最適な人材をマッチングさせるコーディネートを強化。
●都市と地方を連携させる:物理的距離を超えたコミュニティを形成し、かつ人材を継続的に育成する。

という感じでしょうか。それぞれにいろんな工夫があるような感じです。全部やってるところはないし、実際に全部やる必要もなく、強弱があったり部分的であってよいとは思います。

まあこういうのを理解した上で、実際に、スキームの試行と実装に励んでみたいですね。