山の辺の道・奈良道のこれから

平成23年11月13日(日曜日)に奈良市で講演会をします.

内容は,山の辺の道・奈良道のこれから,について.
これまでの農村風景を守りながら,失われた風景も取り戻していく,
そして持続可能な地域をつくる.そのために何が出来るか,というのが趣旨だ.
風景を守るとは,規制をかけるということではない.風景が存在している基盤を守ることである.そのために持続可能な地域運営ならびに風景維持の枠組みをつくるということだ.
なかでも,山の辺の道・奈良道の沿道地区のような準農村地域においては,農村としての世界観(環境観)を守ることが,風景を守ることにほかならない.

どうやったら守れるのか?
特に,少子高齢化が進行し,地域づくりや歴史文化の継承の担い手が減少するなか,地域活動の持続ならびに活性化は大きな課題だ.耕作放棄地や里山の管理,空き家対策は早急な対策を講じなければならない.
地域の景観保全,資源の適切な管理,歴史文化の継承は,「住み続けたい」地域づくりにつながり,それによって里帰りや新たな転入を促進し,人口流出を防ぐこととなる.また,すぐれた景観を活かした,観光事業の展開や,農作物のブランド化も期待することができる.山の辺の道・奈良道の沿道地区はすぐれた景観と歴史資源を有しており,これらの資源を活用することによって,地域外の協力者を取り込み,新たな地域活動の担い手づくりを行うことが可能であると考える.

具体的にいうと,本地区では,子供から大人までを含む,「地域学習の積極的展開」による地域活動の活性化が期待できる,と考えている.たとえば,耕作放棄地を活用した市民農園の実施,管理していない里山を活用した観光果樹園の実施や遊び場づくり,空き家を活用した伝統産業の体験場所づくり,などが核となる事業として挙げられる.これらの事業により,歴史的景観の体感,昔ながらの遊び,環境保全活動を通じたコミュニケーションなどを,サービスとして提供し,それによる利益を得て,雇用を創出するとともに,環境保全の賛同者を集め,ボランティアとの共同管理の仕組みを作り上げる.それは不可能なことではないと考える.また,住民との話し合いのなかで,そういう活動をやっていきたいという思いは少なからずある.

ただし,それを実現するためには,地元の住人が,環境保全の主体として,また,サービスの提供者としての役割をしっかりと果たさなければならない.また,行政によるサポート,行政との緊密な協働も必要になるであろう.もちろん最初からすべては実現できない.一歩ずつの積み重ねになるであろうが,山の辺の道・奈良道の沿道地区の将来目標として,「地域学習拠点」を目指し,そのための第一歩を踏み出すことは意義のあることだと考える.

 

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