2020-2021

年が明けました。まずは例年通り、2020年を振り返ります。
個人的には相変わらずですが、やはりコロナ禍において、いろいろ考えさせられました。
しかし本質的には考え方は変わらず。いずれくる未来が、かなり早まりそうと言うところで、考えるべきスコープが広がったというところでしょうか。

この1年弱、横のつながりが育てられなかった学生さんにとっては厳しかったはず。
ただ研究室は、既にSlackと週報を活用していたので、4回生以外は想像するほど大きな影響がなかったように思います。私自身もそうです。
打ち合わせ、講義、会議、気心の知れた少人数でのディスカッションはウェブで十分出来ることが分かりました。海外調査もしやすくなりますね。対面が必要なのは、意志決定を行う委員会関係、創発的な議論や合意形成を行う話し合いや演習講義やワークショップ、飲み会くらいで、それ以外はウェブで出来ます。これは今後、元に戻ることはないのではと(戻す気もありません)。ただ、話しながら考えをまとめたり、思いついたりするのが大事なので、やっぱり日常的に気軽に話すのが大事ですね。

人の交流は地理的制約を受けます。ウェブ会議の多くも普段つながりのある近畿圏の方々とでしたが、いくらか距離を超えた話し合い(研究や仕事関係)が増えました。国や地域を超えてのやりとりも「時間さえ合わせ」られれば、複数人が簡単に、移動時間ゼロで集まることができ、議論が深められる。これはとても大きなプラスです。今後、人の交流のあり方も大きく変わっていくと思います。技術的と言うよりも、心理的な障壁を無くした、とても大きな社会実験といえるかもしれません。
とはいえ、人との付き合いが地理的制約を受けにくくなると、必然的に交流機会が増え、うっかりすると時間が足りなくなります。また、交流機会が増えると、独自の考えを育てる機会が減るのも問題です。
これからは、まさに有限である「時間の管理」こそが重要なテーマになりそうです。

2021年も挑戦を続けますよ!
(写真は近江守護・佐々木六角氏が戦国時代に居城とした観音正寺の大石垣での調査中(近江八幡市)。
戦国時代初期の石垣に本当に体重をかけているわけではありませんのであしからず)

さて、研究・社会実践については年度が基本であり、今は多くがその途中です。3月時点で形がみえるので、詳細については年度末に。
簡単に言えば、研究・社会実践の2020年は、これまで進めてきたことの「バージョンアップ」の年であったと思います。やっていることは変わりませんがスケールアップしています。
以下、記録として書き残しておきます。

【研究】
研究はここ数年深めている、文化的景観・都市史・歴史まちづくりと、公共デザイン(道路、公園緑地、水系)の各領域を深めながらも、地域戦略や実装システムへの関心がより高まっており、研究テーマにも反映されている。
やはり実践プロジェクトを通じて、実装上何が課題になり、どのような知見を得たいかが明確になったことが、研究活動に影響している。
また、研究活動のうち、①海外の道路空間再編、②海外の水系デザイン、③地域協働デザイン、については論文執筆のほかに出版企画も具体的に進んでいる。ほかにもあるけど、研究室で体系化にむけての研究を蓄積中。2-3年後にはまとまった成果を出すために、実践活動をおさえて、執筆活動に注力する必要あり!

【実践】
ありがたいことに、ここ2年ほど重要な仕事に関わらせていただく機会が増えた。基本は、空間デザイン・まちのビジョンづくり。加えて、そのためのリサーチ。都市・地域のデザインというのはつくづく広い領域を扱っていることを実感する。実践のなかの気づきは多いが、一つの専門分野を掘り下げるのとは異なる。限られた人生の時間の使い方として、実践を広げるのがよいか悪いか、まだよくわからない。今の取り組みのなかでどこまで貢献でき、モノにできるかどうかで、今後の実践研究の取り組み方は変わるかなと思う。(できる限りやりたいが絞るかも)
最近ようやく、卒論や修論でのデザイン検討(とそのためのリサーチ)も意義があると思えるようになった(詳しくはまた)。ただし、リサーチの奥深さによります。

【教育】
講義は概ね内容が定まってきたのだが、なかでも風景論の講義は、講義の内容を種に、たっぷり時間を使って詳細に調査して補強し、『日本風景論講義』として書き下ろしたい、という思いがある(いまはただの願望になっている)。樋口忠彦先生からの宿題(だと勝手に考えている)であり、なんとか実現せねばならぬ。上記、三部作を完了次第、取り組もう! この1年はネタ(参考資料)のストックに注力したい。