Westpark, Bochum ルール探訪2

さて、13日には午後から隣町のボーフムにでかけた。お目当てはWestpark。

概要は
http://de.wikipedia.org/
で、グーグルで英語翻訳。


 
 
 
まずは写真から。

元は誰も寄りつかない工場。周囲は荒廃している感じが今もある。
工場自体はものすごく存在感があって、よくぞ残した!という感じ。

こういう産業遺産をみると、つくづく思うのだが、人間の動力を越えたエネルギーの利用を前提とし、
機能というロジックによって組み立てられた建造物群はヒューマンスケールをはるかに越えていて、
しかしながらそこには人間がつくったという一種の崇高さがある。
本当によくできた工場遺産、たとえばKokerei Hansaなどをみると、人間が創ろうとしたどんなにすばらしいアート作品よりもすばらしいのではないかという気がしてくる。

驚いたのは、Zeche Zollernにしても、Westparkのなかの工場にしても、
その意匠に教会建築と共通性がみられること。
特にその内部空間。巨大空間をつくる方法が共通していたというのもあるが、
ステンドグラスがはめ込まれていたり(そのシンボルにはキリスト像の代わりに鉱山のマークが)、
ディテールがアールヌーボーの様式であったりとか、とにかく作り込まれているものがある。

さて、工場群はそれだけみてもゾクゾクするが、その寂びた感じを残しながら、上手に
リノベーションしている。その写真もいっぱいあるが、今回は勘弁。

さて、プランニング。
敷地は外から完全に隔離されている場所(であった)。
そこに昔の鉄道路線を利用して動線をもってくる。
その導入部にシンボリックな橋。プランニングが良くできている。

で、デザインもすばらしい。
かなりギャップのある地形を処理しながら、
動線を機能的に配置していて無理がないし、
その動線上の落ち着く場所にきちんと視点場をつくっている。
ほとんどの視点場は高台・斜面上もしくは橋上につくられていて、
ランドスケープを眼下に眺められるようにしつらえられている。
水の使い方も地形に沿っているので、その形態ほど無理な感じが
全然しない。おさまっているし、たくさん生じている空間の隅が
きちんと生きている。これだけ広いのに死んだ空間がない。
隅は生態系の再生の場としてやわらかくぼかしている。

う〜ん、じっくり見ているといろいろ勉強になる。
なるほどな〜と感心しながら歩き回る。

公園の一部でもあるGahlensche Strasseの橋(シュライヒ)。
床板はきわめて薄い。予想してたほど振動しない。
結構S字の大きな曲率は無理なく、ダイナミックで、驚きを与える。
いい。すごくいい。

床板裏のケーブルをまじまじと眺める。モーメントのことを考えて
微妙にずらしている。このケーブルが赤いのもニクい。
ケーブルの接合部もシンプルでまさに職人。
写真にはないが、公園の敷地東端の橋も面白かった。

とまあ、Westparkはなかなかの見応えがありました。

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