日本風景史シンポジウム@京都

日本風景史シンポジウムその2「京のヴィジョンをめぐって」を京都で開催しました。
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『日本風景史』出版記念第2回のシンポジウムでは高橋康夫先生をお招きして、
話題提供をしていただきました。高橋先生のお話しのなかで最も印象に残ったのは、
・都市のこれからのまちづくりを考える上での「原風景」を知ることの意義
・文化的景観学における風景史研究の意義 + 都市史研究との親和性
に関する内容でした。その一部は、最近高橋先生が出された千頁を超える大著
海の「京都」 日本琉球都市史研究』にも述べられています。

まず、京都という町、その風景を考える上において、原地形や原植生、そして
それを人間が読みとって形づくった都市骨格(都市軸、都市域など)などを含む
「原風景」というものがいかに基本的なものか、ということです。
詳しくは本を読んでいただければと思いますが、これは都市の原型、源流を探る
態度そのものです。その原型が、ある種の思想や認識の上に成るというのであれば、
それは未来の都市づくりを考える上で欠かせない視点となるはずです。
樋口忠彦先生が、『景観の構造』や『日本の景観』で求めた態度も、日本の原点を
探るものでした。それは時を経ても決して色褪せないテーマと言えます。

次に、文化的景観学という新しいフィールドについての知見です。
一世代前、町並み保存・修景の時代的盛り上がりの中で、西川幸治先生が
「都市史」を立ち上げられましたが、高橋先生にはそれに重ねるように、
文化的景観学という時代要請のなかでの「風景史」の意義を説いてくださいました。
また、都市史研究と風景史研究の親和性についても。実務(景観の保全再生・計画)を
リードするような学のあり方を考えるいい機会となりました。
個人的にも(ここに詳細は書きませんが)大きな激励をいただき、
今後への大きなエネルギーをいただきました。本当に感謝をしております。

ディスカッションでも、いくつか興味深い論点、意見が示されました。
それは会場にきていただいた方々のお土産としておきましょう。

さて、その後も懇親会/二次会と、風景史研究の進むべき方向性などについて
議論を重ねました。まだまだやるべきことが多く残されています。
それをどう形にしていくか、社会とどう関わっていくか、本の出版を経て
あらためて考える機会を得て、非常に充実した議論が交わされ始めました。

その報告も追って。
今後も風景史研究のさらなる進展にむけて、研鑽に励みたいと思います。

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