個性を育む都市デザイン シンポジウム

去る12月21日に,西村幸夫先生(東京大学 都市デザイン研究室 教授)の退職記念シンポジウム
個性を育む都市デザイン ーその研究・実践を展望する」に討議者として参加しました。

symposium171221-1コーディネーターの野原さんのご報告,事務局の永野さんのご報告はこちら。

個人的にはこれまで西村幸夫研の考え方や実践手法から学び,いつも参考にさせていただいていたので,お声がけいただいたことはとても光栄でした。

プレゼンでは,野原さんの趣旨説明(デザ研のフィールドとして,関西がとても少ないのに驚きました)に続き,本流のアーバンデザインをどんどん展開される遠藤新さん,都市に関わる他分野の専門を媒介し関係構築を目指すクリスチャンさん,丁寧な地域性の読み解きの上でのシナリオプランニングと事業としての持続可能なまちづくりをめざす中島伸さん,のお話しが続きました。みなさんの問題提起は,これからの都市デザインの多様な展開や大きな可能性を感じさせるものでした。個人的には伸さんの実践の考え方が自分のものにとても近いと感じて驚きました。討議もとても面白かったです。

私からは,都市をデザインするという行為の意味の拡大,公共空間をまちづくりの議論の俎上にのせること,そのためのまちづくりの芯は地域のアイデンティティであること,空間を人との関わりから捉えること,精神性を考えること,などについてコメントしました。

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討議の一場面(写真:永野さんfacebookより)

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討議開始直前の様子

そのまま流れで,都市デザイン研究室の忘年会へ。日付が越えるまで,みなさんの熱い話や,西村先生のお話しをきいて,たくさん元気をもらいました。

個人的に西村幸夫研の活動を参考にしていたと書きましたが,もうひとつ参考にしていたのが,京大・西川幸治研(都市史,歴史的町並みの保存修景)です。都市の歴史的景観と修景,景観のデザインをうまく結びつけたいと。そのうちに私自身が京都,奈良,滋賀,大阪のまちづくりに関わらせていただくことが多くなってきて,これらの豊かな歴史的文化的固有性・多様性を後世へとなんとか継承しなければならない,と日々強く実感していますが,今では,京都もしくは関西における「都市史研究」の研究拠点ならびに「歴史(文化)景観の保存・活用・整備」の実践拠点を形成することが,私自身にとっても重要なミッションであると考えています。そういった意味でも,日本にこの分野を確立された西村先生やその学統を継ぐみなさまといろいろ話せたことは今後の励みになりましたし,これからの活動のありかたをあらためて考えるいい機会になりました。それにしても皆さん精力的です。著書も多いし。こちらももっと頑張らなければなりませんね。

追記:
別の日に京大の増井先生ともいろいろ話したんですが,「少し前まで私たちが保全を訴えてきたのは常に逆風のなかだった。今はむしろ追い風になっている。大きく風向きが変わった」とおっしゃられていました。西村先生も同じようなことをおっしゃっていました。あらためて,敬意を表するとともに,この時代のありかたを考え,広げていかなければと身が引き締まる思いです。

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