景観行政からデザイン行政へ
2月20日の近畿地方都市美協議会研究会にて、
「景観を手がかりとした公共デザインと多主体協働のまちづくり」と題して講演しました。近畿圏の自治体の景観・まちづくり担当者が集まるなか、2時間みっちり話をさせていただきました。
趣旨は大まかに言うと、
・景観法に基づいて、建造物の規制誘導以外にも、公共空間(活用も含めて)や公共施設のデザインのためのデザインレビューを導入しましょう。こんな効果がありますよ。
・具体的なエリアビジョンにもとづき、関係者協議調整をして交付金や補助金を戦略的に活用し、事業のマネジメントとまちづくりを進めましょう。こんなやり方があります。
・住民や事業者との対話や協働を通じて、景観の持続・循環・再生の仕組みをつくりましょう。公民連携プロジェクトの進め方で重要なのはこういうこと。
という感じで、私が関わってきた事例、参考にした事例をベースにお話しました。
発表の構成は以下の通り。
1. デザイン・レビュー
景観の事前協議、景観アセスメントの対象と方法
2. 公共空間のデザイン
リバブルシティ・プランニング、人の活動とにぎわい、場所づくり
3. 歴史まちづくりにおけるエリア・デザイン
施策/事業のデザイン、エリア戦略のデザイン、資源(建造物等)の有効活用、施策間・計画間連携
4. 仕組みのデザイン
持続・循環・再生のデザイン、農村と歴史的町並みの場合、公共施設の活用、地元事業者や市民との連携と協働
→仕組みを作るプラットフォーム・デザイン
自発性・事業性を引き出すプロセスデザイン、広い参加と人材育成のためのプログラム・デザイン
一般的にはまだまだ、景観行政と、都市デザインと、歴史まちづくり、公民連携事業などはバラバラで進められています。そうではなく、これらを一連のものとして扱う戦略的なデザイン・マネジメントの仕組みを確立し、広義の(都市)デザイン行政を充実させる必要がある、ということをお話ししました。
アンケート結果もお送りいただきましたが、みなさんにしっかり伝わったようで安心しました。デザイン行政に取り組もうという自治体の皆さん、ぜひともにがんばっていければと思います。
下記のようなご意見をいただきました。嬉しいです。
(参考:アンケート自由記述の一部抜粋)
・景観は大きなまちづくりに繋がっていることにあらためて気付かされた。
・「景観」という切り口で、幅広い事業に関われることができる、という新しい発見でした。
・「景観を残す」だけでは難しい。その後の展開、ビジョンをしっかり持って伝えることが重要と感じた。
・地元住民の気運の醸成や財源確保の手法など詳細についても具体的に説明があり、合意形成へ至るアプローチや取り組み方について興味深かった。
・日本だけでなく世界の事例を踏まえ、また具体的に携られた実感、詳細な分析をもとにしたお話が伺えたので、非常に参考になりました。
・素晴らしい事例であると感じました。短い時間で残念です。
・上層部の人に聞いてもらいたい講演だった。