デフレ時代のビジネス

かねてからAKBのシステムは良くできているな、と思っていたところ、面白い記事を見つけた。
その後半を引用したい。

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デフレに強い!!「AKB48」が示す時代のキーワード
宝島 4月4日(水)15時10分配信

(前半略)
◆「心の消費」時代に対応したシステム
 AKB48は、ネット時代のアイドルだ。 関連グループや研究生を合わせると、常に100名以上のメンバーが活動しており、それぞれがブログなどで個人の日常を発信している。一般層にも知名度があると言えるのは、テレビにも登場する上位の数人に過ぎないが、水面下の残り100人が、コアなファンとともに、その成長物語を共有する精神的世界を構築している。
 田中教授は、その水面下の世界を「心の消費ネットワーク」と表現する。
(注)田中秀臣:「AKB48の経済学」著者、上武大学ビジネス情報学部教授)

【AKB48が示す時代のキーワード】
1.「不況型」アイドル
若者の可処分所得が減少するなか、低コストで萌えと癒しを提供してくれ、さらに成長物語を共有できるアイドルがコアなファンの支持を集めている。ライブが基本だが料金は低価格。「いつでも会える」が最大のコンセプト。

2.「心の消費」ネットワーク
たくさんのAKBメンバーのなかから、自分だけが選ぶアイドルと、小さな物語を共有する。そうした無数の「精神的つながり」が非常に強固なファン層を形成し、ビジネスモデルの中核となっている。

3.「総選挙」システム
ネット時代のアイドルは主導権をファンに預け、公正、透明な運営を心がける。そのことによってメンバーのモチベーションとファンの「応援したい」という気持ちは常に純化され、長期にわたって活躍し続ける土壌が形成される。

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まあ、これも「消費文化に過ぎない」といってしまえばそれまでだが、実は観光まちづくりにおいても
重要な示唆を与えてくれると思った。それは何か、いくつかの視点から、コメントしてみたい。

・「生の体験」の重視
音楽を聴くというライフスタイルから、身近に応援するというライフスタイルへの変化。
生き方そのものが変化している。それを支えるのが、より濃厚な体験だ。
情報を切り分けて発信するのではなく、人格的なものとして発信する。
それは観光まちづくりにおいても、歴史、産品、サービス、人、というのを切り分けるのではなく、
生の体験を可能にする、濃厚な場の設定の重要性を示唆する。

・物語の共有と「精神的つながり」の醸成、精神的世界の構築
物語を共有して、そこに参画することの重要性が明確にされている。
まずは、物語性をつくる。多くのさまざまな物語(メニュー)をつくり、それを可視化する。
参画者が、応援される者と参画者の一本のつながりを感じるのではなく、自分以外の参画者
コミュニティなど、無数のつながりの一つ、であるということを認識する。帰属意識が生まれる。
同時に、適度な競争心が生まれる。
物語は、この「精神的世界」によって裏付けられており、強固である。
観光まちづくりの際に重要になってくるのは、この「物語性」と「精神的世界」が、どのようなもの
であるか、ということだ。品格が高まったり、俗になったりする。
近世の各地方では、歴史的偉人の物語性が称揚され、その精神的世界が神社や史蹟の建立とともに
具現化され、郷土のアイデンティティを形成していた。
(「史蹟論―19世紀日本の地域社会と歴史意識」羽賀祥二)
現在、そこで生を営む人たちが共有し得る物語を紡ぎ出すこと、が問われている。

・「純化」のシステム化
その物語の多元性、公平性を裏付ける規範のシステムがある。
ゼロへの「リセット」をそのシステムの中に位置づけている。極めて日本的だと思う。
精神的世界は常に純化の作用を受け、精神的世界を強固にするとともに暴走が防がれている。

以上、長々とコメントしたが、消費のスタイルが変わっている。
消費スタイル(もしくはライフスタイル)の変化を読み、いかに持続可能なサービスへ転換していくか、
観光まちづくりにも共有できる課題だろう。
繰り返しになるが「物語性」と「精神的世界の構築」をいかに導くかが鍵になると考える。

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