強い場所とデザイン
建築作品の「強さ」はよく語られていると思う。
では、水辺や広場などオープンスペースで、場所が人に訴える印象の「強さ」はどうか。
どういう歴史があって、それがどう外と接続して、どう作られたか、ということは語られても、
その場所としての強さとなると、なかなか言葉にするのが難しい。
実際に体験してしまえば、一見すれば、言葉などなくとも、なんとなく分かり合えてしまえるのも
その理由かもしれない。
ふと、自分は、どれだけ場所の強さを説明する語彙を持ち得ているか、と自問してみる。
思い出そうとしても、ゴードン・カレンの「都市の景観」とかケビン・リンチとか、
やっぱりそのあたりに行き着いてしまう。これらもあくまで、場所の特性を「読み解く」学だった。
デザイン論や計画論には落とし込んではいない。
都市の中に印象的な場所をデザインするためには、
もっと体系的で、もっと身近で、もっと豊富な語彙が、
場所を計画するための計画論としての語彙が、必要だと思う。
と、思って、土木学会デザイン賞の講評を読み直してみた。
豊かなスケール感
なめらかに連動する空間構成
風景が生きている
訪れる人々の表情が豊か、愛されている
適度な奥行き感
閉じつつ開いた領域感
のびやかさ
気持ちよい広がり
明快なコントラスト
心地よい
景観的な秩序
歩くことが楽しい
親水性が高い
風景の連続性
こういう抽象的な表現をもっときちんと概念化し語彙化することをしなければ、
デザイン論は発展しないのではないか、と思った。